このレビューはネタバレを含みます
1982年FIFAワールドカップスペイン大会に沸き立つイタリアで，一組のカップルが誕生しました．ジャンニ君とニーノ君という男性カップルが．でも，当時のイタリアでは，それは祝福されない・・・それどころかあってはならない事だったのです．こんばんわ．三遊亭呼延灼です．
そう，あってはならないこと．男は女性と付き合うもの．そこに1ミリの疑問もございませんでした．そして同性愛者には人権は無きに等しい存在だったのです．
本作は同性愛者のカップルを通して，世の常識を問い直す作品でございました．常識道から外れたジャンニ君とニーノ君は，共通してワールドカップにさしたる興味を示しませんでした．母国のチームを応援し，テレビで試合を観戦するのが常識だったのに，それらに二人が深く関わる事はございませんでした．性癖と同様に，「普通」という言葉に背を向けるかのように．
今生で幸せだった時間が短かったお二人．もし生まれ変わる事があったら，是非とも本邦の人におなりなさい．まさかお二人ともに，当時の極東におかまの双子がお茶の間の人気者になるほどに同性愛者に優しい国があるとは想像すらできなかった事でしょう．
