自分たちと違った人間を排除しようとする勢力と、共存を図ろうとする勢力を家族関係を通して描いていたように思えた。家族が新生物だとわかったとき、それまでのように愛情をもって接し続けることができるのか。フランソワもラナに会いたい一方で会ったときの不安も抱えていたのはそういうことなのだろうか。劇中フランスの隔離政策に対しノルウェーでは隔離ではなく共生を目指すと言っていたが、どんな異物を排除しようとするのかを国が決めるというのがなんだか悲しい。国によって人種だったり宗教だったり出自だったりで異物と判断されている現況を批判しているようにも思えた。おもしろい設定でしたが、展開が唐突なのは編集のせいなのかな。エミールとニナの関係とか、フランソワと憲兵隊のジュリアの関係とかがいまいち深められていなかったし、爬虫類になっていく少年のその後とか、エミールがどんな動物になるのかも見てみたかった。
