ダニエルクレイグ

女王陛下の007のダニエルクレイグのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下の007(1969年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

二代目ボンド、ジョージ・レーゼンビーが登場したシリーズ第6作。スペクターの首領、ブロフェルドの所在が明らかになり、ボンド はその情報をもとにスイスへと飛ぶ。やがて、細菌を使った恐るべき人類抹殺計画が明らかになる...。

この映画かなり良い。冒頭のシーンでトレーシーが海に身を投げようとしているところを助け、ジェームズ・ボンドと名乗った時は なんだこの優男と思ったが、ストーリーが進むにつれて軽快な身のこなしや長い手足からくるエネルギッシュなアクション、そしてマネーペニーや周りの役者との絡みは違和感無く次第に引き込まれていった。

ボンドガールのトレーシー、ダイアナ・リグはめちゃくちゃ良かった。スタイル抜群でクールで知的でありながら、色々経験してきた バックグラウンドが垣間見えるような死んだ目も印象的。カーチェイスのシーンでは、運転している時に舌をペロッと出してクール でありながらもスリルを楽しんでいるような表情を見せるところも良かった。ボンドが敵に追われてスケートリンクの脇に身を潜めている時の助けに来た時のトレーシーの足元アップ、そしてタイツの美脚舐めからの顔までのカメラワークは秀逸。ブロフェルドが 潜むアルプスの診療所やダイアナ・リグの雰囲気は、第24作スペクターのホフラー診療所やレア・セドゥとリンクする。ストーリーも 前作の続きでスペクターとの絡みや広がりがあり、スキーや雪崩のシーンはハラハラしつつもカッコ良さがある。

007で唯一ボンドが結婚する今作。結婚式の直後にブロフェルドとイルマ・ブントの襲撃に遭いトレーシーは死んでしまう。ボン ドが愛した女性は死んでしまうのか。ボンドが幸せになって007を辞めると話が終わるのだろうがやはり悲しさがこみ上げる。ラストの撃たれたトレーシーを抱きながら指輪にキスして「疲れたから眠っているだけなんだ、二人の世界が広がっているんだ」という ボンドのセリフがめちゃくちゃカッコ良く、泣ける。やはりボンドガールの儚さもこの映画の魅力であると感じた。次回作もジョージ・ レーゼンビーでお願いしたいところ。