コミヤ

アポカリプトのコミヤのレビュー・感想・評価

アポカリプト(2006年製作の映画)
4.4
アクション映画のお手本のような作品。

この作品の中に目新しいものは一切ない。しかしランボー、マッドマックスなど既存のアクション映画の手法や演出を最大限に有効活用し、そして無駄を削ぎ落としてシンプルな物語に落とし込んだことで生まれた無類の面白さがある。

まず約20分かけて描かれる村での生活描写で彼らに感情移入させられ、以降の悲劇性が倍増する。その段階で後の展開の伏線を散りばめるなどしっかりと後半へとセッティングを済ませている。その後高度に発達したマヤ文明の生贄の祭壇に連れて行かれるまでは彼らと視線を共有しているかのような感覚を覚え、そこで目の当たりにする異常な光景を追体験することになる。このマヤの都市の描き込み方は半端じゃない。

このように前半部でしっかりと主人公達に感情移入していることに加わえ過剰なほどのバイオレンスがあることで後半の展開には異常なカタルシスを感じられる。

何も複雑なことをやらなくても、基本的な事を丁寧にやれば映画はいくらでも面白くなることを教えられた気がする。映画の原始的な面白さの詰まった映画だった。
コミヤ

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