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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のIKのレビュー・感想・評価

3.8
これ原作だと舞台はベネチアじゃなくてイギリスの田舎なのか。

華やかでゴージャスな雰囲気があった前2作(「オリエント急行殺人事件」、「ナイル殺人事件」)に比べると小ぢんまりした印象を受けるが、今回はたった一晩の密室劇なので丁度良い塩梅ではある。
そして2時間を切るコンパクトさながら、ストーリーやキャラの密度はしっかりしているので、物足りなさは感じない。

また前2作と異なり、ポアロは隠遁生活中だったため、本調子ではない点も大きな特徴。
劇中ちょいちょい挟まる怪奇現象やジャンプスケア要素は、映画自体のホラー要素を強めるだけでなく、ポアロの不安定さも表してるようで面白い。そしてポアロが苦しめられる姿を散々見せつけられるからこそ、ラストの爽快感は中々のもの。
なお一連の怪奇現象のトリックについてはちゃんと説明はされるが、それで全て解決されず若干モヤっとした後味が残るのも、ラストのある人物が言う台詞と合わせて考えると味わい深い。

ただ強いて言うなら劇中の大半がずっと真っ暗+大荒れの天候で、ベネチアの絶景が味わえるのは最初と最後だけなので、観光気分を堪能したい人には向いてないかも。
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