ハシゴダカ

絞殺魔のハシゴダカのレビュー・感想・評価

絞殺魔(1968年製作の映画)
3.6
黒沢清がフェイバリットに挙げているので、気になっていた作品。
なるほど。お話しの面白さというより語り口で見せる作品。
スプリットスクリーン(画面分割)が頻繁に出てくるんだけど、それが全て意味があり効果的に使っているのが印象的。
死体発見する側とされる側、難航する刑事の捜査、怯える女性達の防犯対策、殺そうとする側とされる側。
時間短縮効果もあれば、緊張感を高める効果もあり、後で読んだレビューでは「分裂」を表現しているともあり、なるほどなぁ〜と。

ヘッドホンして観たから気付いたけど、スプリットスクリーンで左右に別れている時には、左右それぞれのシーンの音がしっかり左と右に分かれており、その辺も凝っている。
そういう演出なので、劇伴もなし。
なので、ドキュメンタリーのよう。
だけど、画面がテクニカルという不思議なバランス。

きっちり真ん中で前編(捜査編)と後編(犯人編)の切り替えがあり、考え抜かれた構成。

俳優陣も良かった。
映画スターのヘンリー・フォンダが敏腕の老捜査官で、『お熱いのがお好き』のトニー・カーティスが○○役やってたりで見応えがすごくあった。

直近で観た同監督の『ミクロの決死圏』がそんなにだったけど、本作はまた全然違う感じで驚いた。
職人的にジャンルを問わず作品を撮っていた監督で、その辺に黒沢清が惹かれているのだとか、納得!
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