たかちゃん

イビルアイのたかちゃんのレビュー・感想・評価

イビルアイ(2022年製作の映画)
4.1
メキシコのホラー映画。メキシコ時代のルイス・ブニュエルのシュールレアリズムと、ギレルモ・デル・トロのファンタジーを内蔵した見応えのある作品だ。
13歳の少女ナラは、妹の病気療養のため、母の田舎に行く。森に囲まれた住居で暮らすお婆ちゃんは、お手伝いさんが話してくれた魔女ではないか。ナラはそう思い込む。次々と怪しい行動のお婆ちゃん。母に連絡しようとしたら、お婆ちゃんにスマホを壊されてしまう。きっと、夜中に妹の生き血を吸い、若返るのだ。妹を守らなければ。深夜、妹を連れて逃げ出すナラ。だが、森で迷ってしまう。病気の妹はもう動けない。やがてお手伝いさんの住む家に辿り着くが、お婆ちゃんのもとに連れ戻されてしまう。みんなお婆ちゃんの同類なのだ。
お婆ちゃんは本当に魔女なのか。ナラの思い込みなのか。観る者も、ナラを応援するか、思いこみだよ、と見るかで細部の伏線の捉え方、解釈に違いが出てくる。そしてラストの予想外の見事なオチ。
本作は、スプラッタ・シーンがなく、音で驚かせるような小細工も弄していない。遠近法の使い方も巧い。たとえば画面手前の人物の芝居があり、その画面奥でも別の人物の芝居がある。原色を抑えた渋い色彩。優れたホラーの登場だ。
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