クエンティンタランティーノに焦点を当てたドキュメンタリー映画。
特別新しい情報を得られなかったけど、タランティーノ初心者だったらそこそこ楽しめるような作品でした。今作はタランティーノの映画に出演しているかなりたくさんのキャストにインタビューをしていましたが、みんなが気になっているであろうワインスタインの一件には想像以上に触れられず、置きに行ったような作りになっていたと思います。
唯一、マイケルマドセンがワインスタインについて色々喋っていたんだけど、はっきり言ってタランティーノの映画を引用するのはかなりいやらしかったし、マイケルマドセン自身が役者として好きでも、彼自体が家庭内暴力やら不法侵入で何度も逮捕されているような人だからか、ちょっと胡散臭かったです。クリストフヴァルツは2度アカデミー賞を受賞して、そのどちらでもワインスタインに感謝していたわけですが、今作では彼にどういう心境だったのかを聞くべきだったし、ヘイトフルエイトでボコボコにされていた(する側でもある)ジェニファージェイソンリーがワインスタインの一件を含め改めて役柄と映画について語るべきでした。タランティーノがワインスタインの悪行を知っていたと告白した時に、後出しジャンケンの如くアンチタランティーノたちがヘイトフルエイトのジェニファージェイソンリーのことを引っ張り出していて、それはそれで汚いやり方だなと思ったわけですが、このドキュメンタリーではそういった触れるべきことに関して、そっとしている印象を受けました。多くのキャストがタランティーノによって復活、もしくはキャリアを見出しているわけですが、そういう人たちがタランティーノの兄弟とも言われたワインスタインについて触れていないのはかなり不自然だった気がします。
タランティーノは個人的に一番好きな映画監督の一人だし、彼がクレイジー映画オタクであることも分かるんだけど、せっかくドキュメンタリーを作るのであれば、もっと色んな面を掘り下げて欲しかったです。構成内容がインタビューとアニメーションだけっていうのも、ドキュメンタリーお決まりのパターン過ぎたと思います。
というかタランティーノユニバースが繋がっているって話、どうせ語るなら実は2つあって、1つが映画の中の現実(レザボアドッグス、パルプフィクション、イングロリアスバスターズ、ワンハリなど)で、もう1つが映画の中の映画(ヴェガ兄弟が映画館で見るのがキルビル、デスプルーフあたり)なんだよって教えてあげたら良かったのに。