うかりシネマ

ザ・クリエイター/創造者のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

2600年代、AIがロサンゼルスに核を投下したことにより、西側諸国はAIを禁止。AIを尊重するニューアジアと戦争状態に突入していた。アメリカは正体不明のAIクリエイター“ニルマータ”を殺害するため作戦を展開する。
少女型の模造人間(シミュラント)・アルフィーの破壊を命じられたジョシュアは、アルフィーを匿い軍から逃げることになる。

舞台となるニューアジアは東南アジアやネパールをベースに日本や中国もミックスして、これまでのSFとはかけ離れているのにSFとして成り立っている。山間部から突然渋谷のような街並みが現れたり、随所に変な日本語が使われていたりと、サイバーパンク系のそれとも異なる不思議な可笑しさがある。

人間型のシミュラントは顔こそ人間そのままだが、それより後ろは後頭部までくり抜かれたようなデザインで、貫通した穴も開いており、一目で人間でないと判別できる。
機械頭のシミュラントは警察の制服からタイ風の袈裟まで衣装が多彩で、ドロイドのような可愛さがある。
それによる世界観もリアルで、なんとも魅力的。機械頭が日常生活をして人間らしい仕草をしていたり、中国辺りのお爺さんがメカっぽいバックパックを背負っていたりと、見たことのない絵面ばかりが流れてくるのでずっと楽しい。
そしてそれを破壊するかのように銃撃戦が行われるのもいい。

ニルマータはニルヴァーナ(涅槃)+オートマタだろうし、ジョシュアはイエス、ベトナム戦争に911、イスラム教の自爆テロと、アメリカの戦争の歴史と仏教的解決でモチーフはストレートに分かりやすい。
ラストは尻すぼみだが、最高の世界観に美術、軍人と少女のロードムービーで大満足。