このレビューはネタバレを含みます
月の王国の前には太陽の王国があったという主張や複数の動物が入り混じったブルーオというキャラクター、戦争に行って戻らない父親、そして物語の最後に現れるコンクリートの壁。
太陽の王国はかつてパレスチナに住んでいたというユダヤの伝説、月の王国はその後、さまざまな宗教が入り混じり平和に暮らしていたかつてのパレスチナを暗示しているように感じつつ(ブルーオの体の複数の動物は宗教を表しているのかと思った)映画を見ていたので、最後にコンクリートの壁が出てきた時にはゾッとした。
パンフレットの監督インタビューを読むと直接的にイスラエルとパレスチナを描こうとしていたわけではなかったらしいが、今の情勢もあり、この物語はまさにイスラエルとパレスチナの現状を表現した映画に思えた。
驚くほど美しいアニメーションで、美しさでいえば2023年に公開された映画の中で群を抜いていた。それだけで人に進めたくなる映画だったけれども、現状を変えていくために行動するというメッセージがあったことも良かった。