Jun潤

きみとまたのJun潤のレビュー・感想・評価

きみとまた(2023年製作の映画)
3.6
2023.08.31

2023年200本目。

(たしか)ポスターを見て気になった作品。
主演は若葉竜也藤原季節倉悠貴に続くミニシアターの申し子、平井亜門。

かつて付き合った女性に手を出せなかったことに後悔を残し続けている監督志望のまるお。
自身の体験を基に新作映画を制作しようとする中でまるおは、恋人だった女性・アキと再会する。
アキは、結婚していたものの旦那とはセックスレスになっており、欲求不満と義母からの期待に焦っていた。
まるおの後悔を聞いたアキは、彼に対して要求する、「まるおの精子をください。」

ん〜、これはこれは。
まるおとアキの夫によるダメ男デュエットと、人間の本能の果てにあるものはなんなのか、生まれてくる子供と新作映画をリンクさせて描き出す妙な面白さのある作品。

まるおが欲しかったのはなんだったのか。
自分の過去を忠実に再現した映画か、自分の願望を叶える映画か。
もしアキに手を出してずっと一緒にいることができるなら、子供を育てられなくてもそれでいいのか。

アキが欲しいのは男性からの愛情か、自分の欲求を解消できるものか、それとも本当に子供なのか。
子供を宿せるなら父親は誰でも良いのか、過去の愛情を精算するためにまるおに抱かれたいのか、夫婦の愛情を確かめたいのか、自分に欲情する男性がいるという証明が欲しいのか、それとも本能に体を委ねたいのか。

個人的に今作に多用されていた「抱く」という言葉には嫌悪感。
他に「寝る」とか、僕もよく使ってしまいますが「ヤる」とか。
性愛の象徴的な行為であり、子孫を残す動物の本能による生殖行為であり。
世間や周囲からのプレッシャーもあるかもしれませんが、本能と理性の間で生きる人間だからこそ、欲望の解消と新しい命を授かることは別にして考えなくては。
そういう意識の区別がついてないまるおとアキだったからこそ、まるおは新作映画がどんどん自分の願望を叶えるためだけのオナニー作品になっていき、アキも含めて、生まれてくる子供のことを全く考えることができなくなっていたのではないでしょうか。

アキの夫、さすがにベッドに女性を残して風呂場でVRオナニーはヤベェよ……。
Jun潤

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