Jun潤

パスト ライブス/再会のJun潤のレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.2
2024.04.09

A24製作。
A24がラブロマンス……!?
予想のつかない組み合わせですが、予告編からして過去の恋愛を追想するかのような王道な作品を、A24が発掘してきた新進気鋭の監督がどう演出したのか、気になりますね。

深夜のとあるバーで、カウンターに並ぶ3人の男女。
アジア人の男女と白人の男性、果たして彼らはどのような関係なのか。
物語は、24年前の韓国に遡る。
ナヨンとヘソン、二人の少年少女はとても仲が良く、互いに恋心を秘めていた。
しかし、ナヨンの両親がアメリカへの移住を決め、二人は最初で最後のデートをした後、離れ離れになってしまう。
それから12年後、ニューヨークで作家を目指していたノラ(ナヨン)は、ふとしたきっかけからヘソンが自分のことを探していることを知る。
ネット上で連絡を取り合い、画面越しに再会する二人。
お互いの生活のことを話しながら、再会することを願い合うが、ノラは作家として何かを成し遂げてから再会したいと、1年間ヘソンとの連絡を断つことにする。
そして移り住んだシェアハウスでノラはアーサーという男性と出会い、のちに結婚することに。
それからさらに12年の時が経ち、ヘソンはナヨンと再会するためにニューヨークを訪れる。

はぁ〜!これはエモっちいぜ〜!
いつまでも過去の恋愛を忘れられていないようなヘソンの姿に、ちょうど鑑賞したばかりの『秒速5センチメートル』の貴樹くんっぽさを感じましたが、それを軽く上回ってくるような人間的魅力を持っていました。
というか今作主要3人のキャラクターがとにかく良かった。

今作で対比して描かれていたのは、単なる男女関係だけでなく、過去と現在、過去を見つめ続けることと現在の人生を生き続けることだったと思います。
12年前の場面では、ただナヨンとの再会を望み続けたヘソンと、現在の人生をより充実させようと、ヘソンとの関係をも断って邁進しようとするノラ。
再会を果たしたナヨンの中に、過去の自分が存在していることを確信できたヘソンと、ノラの中にいるヘソンを見ることができないこと、同じ年代に自分がいないことに、嫉妬でもないけどモヤモヤしているような感情を見せるアーサー。
ノラ(ナヨン)もまた、ヘソンの中に過去の泣き虫だった自分を見つけ、現在の人生をアーサーと共に生きていくことを確信していて、過去と現在、ナヨンとヘソン、ヘソンとアーサーがうまく対比して描かれていたと思います。

過去は自分の中にしか無いとばかり考えていましたが、昔関わっていた人の中に過去の自分を見つけることもできるんだと今作を観て気付かされました。
また、今作のアーサーはよくできた男性でしたが、お互いが初めての相手でもない限り、自分の知らない過去や男の存在もひっくるめて愛していかなければならないという現実も突いていて、そこも個人的には◎ポイントでした。
Jun潤

Jun潤