Jun潤

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のJun潤のレビュー・感想・評価

3.5
2024.04.12

毎年恒例シリーズ。
昨年のエンドクレジットから、舞台は函館、登場キャラクターは平次と怪盗キッドだということは分かっていましたが、まさかの大岡紅葉とその執事の伊織、さらには『YAIBA』からコナン本編にも登場した沖田総司まで登場とは、まーた原作ファンホイホイですかと。
プロモーションの時点で原作未登場の事実が判明とかなんとか言っていましたが、黒の組織関連じゃないから本筋にそこまで絡まないものではないかと思ってしまいますし、ここにきてキッドのことが分かったところで……
キッドも元々『まじっく快斗』の主人公ですし……
もう毎年のことなのであまりミステリー要素は求めず、刀がキーアイテムということで平次の殺陣アクションに期待しつつ、函館には思い出もあるからあんまり破壊しないでくれよと思いつつ、まぁ期待値はそこそこに今回鑑賞です。

怪盗キッドの次の狙いは日本刀。
函館の財閥、斧上拓三の屋敷に招かれたコナンとおっちゃん、そしてキッドと因縁ができてしまった服部平次。
服部の活躍によって狙われた2本の刀のうち一本を守り抜くことができたものの、一本は盗まれてしまう。
翌朝、倉庫街にて男の斬殺死体が発見される。
男は斧上の顧問弁護士をしており、ドバイから函館に来たばかりだった。
そして、捜査線上に浮かび上がる“死の商人”タカクラ。
タカクラは斧上の祖父・圭三郎が遺した財宝であり強大な兵器を狙っていた。
キッドはタカクラが所持していた刀も盗み出すが、直後、謎の剣士に襲われる。
その危機を救ったコナンと平次は、キッドから、刀は土方歳三所縁のものが全部で6本あり、その刀に隠された暗号を解き明かすことで圭三郎が遺した財宝を見つけ出すことができることを聞き出す。
残る二振りの刀を所有する福城良衛を訪ねたコナンと平次は、残りの刀と、黒地に赤い星が描かれた謎の絵を手に入れる。
そして全て揃った刀から浮かび上がる、土方歳三が一晩だけ振るったという星稜刀の存在とその所在。
その刀がさらに導く財宝の在処を巡り、函館の街で壮絶な争奪戦が巻き起こる!!

うーん、、前作に引き続き今作も詰め込みすぎじゃない??
平次とキッド、過去に隠された財宝を現代で見つけ出すという流れは個人的に一番好きな『世紀末の魔術師』を彷彿とさせますが、『紺青の拳』のように街全体が舞台になっていたことや困った時の不思議デカ組織の存在、『から紅の恋歌』に登場した大岡紅葉の再登場(役割は北海道の名所紹介でしたが)、さらには『YAIBA』から沖田総司だけでなく謎のツルピカが登場し、途中でなんとなく分かってしまった今作が初出の事実に関する伏線を張っていたりと、要素がモリモリすぎるのに上手いことまとまっていなかったような気もして、冗長さを感じてしまいました。

なんとなく作品の全体的な雰囲気が『ゴールデンカムイ』っぽいように感じました。
ミステリー作品としてはコナンの方が先なものの、北海道に隠された財宝というロマンは今となっては完全に『ゴールデンカムイ』のものな気が。
キーパーソンに土方歳三がいることや、その声優に『ゴールデンカムイ』で尾形上等兵を演じた津田健次郎をキャスティングしていたことで尚さらそう感じてしまいました。
ラストにある殺陣アクションも、コナンらしいものというよりは、ついに『鬼滅の刃』っぽくしろというオーダーがあったのかと邪推してしまうもので、ちょっと物足りない感じもしました。

あとはキッドと平次の因縁や新一と蘭の関係、沖田や西村警部の登場、工藤優作&有希子の登場など、原作ファンや長年コンテンツを追っている人からしたら嬉しい登場人物たちなんでしょうけど、毎年の劇場版の方をメインにしている人(僕とか)が、最近のヒットによって多くなってきたのかもしれないと考えられることを踏まえると、閉じコン化がますます進んできた気もします。
こうなってくるともう『ONE PIECE』みたいに青山先生が製作総指揮でガッツリ絡んでくるとかした方が話が早いんじゃないですかね。
それか新規のファン向けにガッツリミステリーしたものにしてみるとか。
劇場版というコンテンツ的には新たな風を取り入れ続けているようにも思えますが、個人的にはそのぐらい大きな変化が欲しいところ。

肝心のミステリー要素については抑えめ、だったのかな??
伏線はこまめに散りばめられていましたが犯人が判明した時のカタルシスはほぼ発揮されず、アクション成分も他に振られていたのでコナンくんのスケボーアクションや花火ボールもあまり印象にも残らず。
蘭姉ちゃんに関してはアクション要員でもなくコメディ要員、おっちゃんの高所恐怖症ネタが久しぶりに登場してくれたのは良かったですが、博士のダジャレクイズに無理矢理ずーしーほっきーを登場させたり、少年探偵団の面々と共に行ったサポートももはやテロレベルでしょ。

今作の聖地巡礼をしたいのなら函館だけに絞って、間違っても短期間のうちに紅葉が行った場所も巡ってやろうなんて考えないことをおすすめしますね。
函館山からの夜景をあんな風に二人っきりで見ることはほぼ不可能です!笑
僕の推しである平和カプの進展については、直前の展開の時点でもう結末が分かったので、はいはいそうですよねという感じ。

来年は、声的にあの県の方々が登場。
地元ですし嬉しいのですが、やっぱり原作ファン向けなんですね。
もはやミステリーコンテンツとしてだけでなくファミリーコンテンツとしても観てはいけないのか。
Jun潤

Jun潤