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ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのrebのレビュー・感想・評価

3.0
トークイベント上映で鑑賞。
う〜ん、モヤモヤイライラが止まらない。
映画というメディアが、いかに“男性のまなざし“に満ち、女性を“性的客体化“とみなしてきたかを大量の映画クリップを用いて、ニナ・メンケス監督が持論を展開する講義のドキュメンタリー。
いやはや参りました。アメリカにはフェアユース(公正利用権)があり、映画の短いクリップを使用しやすいとはいえ、こんだけ私の好きな数々の映画の一部分だけをピックアップして、男性目線だなんだと悪の根源みたいに言われてもねぇ。
一応私は長年女性をやってきてはいますが、汗だくのムキムキ男性のヌードを見せられるよりは、バルドーの美しいヒップを見てる方がずっと幸せな気持ちになれる。
映画という世界では、美しいものはあくまでも美しく撮ってくれた方がいいし、必ずしもそれは男性目線とは思わない。
もちろん俳優さんがやりたくないことを強要されるのは絶対いけないと思うが、近頃はインティマシー・コーディネーターの起用もあり、改善してきていると思う。
とにかく本作の107分間、次は私の好きな映画が槍玉にあげられ、批判されるんじゃないかとマジでドキドキだった。
キム・ギドクの「人間の時間」が出された時は椅子から転げ落ちそうになった。ここでこれを出すとは‥。もちろん監督は亡くなってしまいスキャンダルの真相は分からないが、私は彼の作品世界は好きだし、とてつもなく美しいと思う。ニナ先生には唾を吐きかけられると思うが「悪い男」が特に好き。
あと、私の大好きなカンヌパルムドールのジュリア・ディクルノー監督(女性)の「チタン」も引き合いに出されてたけど、あのモーターショーのシーンは、主人公が車好きだからやっていた仕事で、男性の性的視線には嫌気がさしていたことの象徴としてのシーンなのに、その部分だけを抜き出してあれこれ言うのはどうかなあ。
ニナ先生ちゃんと映画最後まで観たの?
もちろん映画業界において、女性たちが虐げられているのは分かるし、もっともっと女性監督も出てきてほしい。
だからと言って過去の素晴らしい作品の一部分だけを取り出してあれこれ批判するのはなぁ。
それはあなたがブレインウォッシュされているからだと怒られるかもしれないが、私は映画の世界に入り込むのはある種の洗脳だと思っているので、別にいいんじゃない?
上映後のトークで斎藤教授が、アケルマンやオッティンガーが好きなら、きっとニナ監督の作品も好きになるとおっしゃっていた。私はフェミニズムを声高に言うのではなく、作品の中でさりげなく軽やかに示してくれる2人の作品がとても好きなので、おっかない顔してまくしたて、しかも自分の作品にすごい自信を持ってるニナ監督の作品は、好きになれるかどうか分からない。まぁ一応観てみるつもりだが。
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