謎が謎を呼ぶ前半から、徐々にパズルが解けていく中盤、そして最後に全てのピースがバチっと噛み合うカタルシスはある。マイノリティの現実の辛さも描かれている。映像も力強い。アクションシーンも見事だ。
しかしなんと言っても、キム・ソンホが良い。
「犯罪都市」もそうだが、「昭和の日本のテレビ放映されていた映画やドラマなどで観たような、面白かっこいい主人公」が、韓国映画は上手い。手法としては古いが、今でもわたしは「面白かっこいい主人公」が大活躍する映画が観たいのだ。
「貴公子」のキム・ソンホはまさにそれだ。令和流の変化球はあるが、みんな大好き「お調子者だがめっぽう強い」主人公が、飄々とスクリーンで駆け回る。
コーラ飲んでゲップするキム・ソンホ、新品のベンツを傷だらけにしてしまい凹むくせにボンネットを土足でバンバン歩くキム・ソンホ、かすり傷で泣き言言いまくるキム・ソンホ、大体のことは笑顔で受け流すキム・ソンホ、前半はヴィランぽく見せてるのに、可愛すぎて全然怖くないキム・ソンホ。
面白い映画にも色々あるが、年に数回は、こういうのが観たい。
「犯罪都市」みたいにシリーズ化しないかなあ。