原題は「The Childe」で物語のままなのだが、名無しの主人公にシフトした邦題は素晴らしい。イケメンで高級スーツをまといベンツを乗り回す、謎の男キム・ソンホをよく表現している。
韓国巨大財閥の相続争いの話。が、「新しき世界」や「The Witch 魔女」や「楽園の夜」の監督は、ひねりにひねって世界を創造する。
フィリピンの地下格闘技で糊口をしのぐ混血青年が、何に巻き込まれたのか分からないまま、激しいアクションに目くらまされて、物語は進む。彼が危機に陥る度に現れる「貴公子」が何者なのかも、まるで分からない。
少しずつ事態が明らかになって、「貴公子」の正体は最後に判明する。最後の最後にドンデンもある。
「何が起きているのか」を探索する生存本能を観客のモチベーションにしたノワールアクション。だから、「貴公子」のキャラクターが魅力的でも、続編は創られないだろう。
childとchildeを読み違えていました。後者は、名門の子弟、貴公子の意味ですね。
