MasaichiYaguchi

ポッド・ジェネレーションのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)
3.6
卵型のポッドで赤ちゃんを育てる新時代の妊娠と向き合うカップルを描いたSFラブコメディは、出産までの10カ月間でどのように育児と向き合うのかを、優しく、時にコミカルに描き出す。
AIが発達した近未来のニューヨーク、ハイテク企業で働くレイチェルは、大企業ペガサス社が提案する新しい妊娠方法に心を惹かれる。
それは出産までの10カ月間、持ち運び可能な卵型ポッドで赤ちゃんを育てるというもの。
しかし植物学者として自然界の多様性を守るべく日々奮闘しているパートナーのアルビーは、自然な妊娠を望んでいた。
やがてペガサス社の子宮センターを見学したレイチェルはポッド妊娠への思いを募らせていき、アルビーも彼女の真っ直ぐな愛に突き動かされて一歩を踏み出すことを決意する。
2人はポッド妊娠だからこそ生じる不安や困難に悩みながらも、手を取り合って進んでいく。
Chat GPTをはじめとしたAIが身近になったこの頃、本作で描かれた近未来は決して非現実的なものではないと思う。
出産に関する男女の不平等を払拭し、女性に仕事と出産との両立を図る“新しい未来”は、だからこそ逆に“母性”とは何か、更には“人間たらしめる”ものは何かを我々に問い掛ける。