ゴン吉

座頭市兇状旅のゴン吉のレビュー・感想・評価

座頭市兇状旅(1963年製作の映画)
4.0
盲目ながらも居合抜刀の名人である渡世人の生き様を描いた「座頭市」シリーズの第四弾。
勝新太郎が主演、高田美和、万里昌代、成田純一郎、北城寿太郎、村瀬幸子らが共演。音楽は伊福部昭が担当。

盲目の渡世人である座頭市(勝新太郎)は賞金首となり、上州下仁田で十両の賞金を目当てに襲ってきた喜助をやむを得ず返り討ちにする。喜助の母(村瀬幸子)に息子の死を伝え、息子からの預かり物だと偽って自分の十両を渡す。座頭市が滞在する旅籠の娘のぶ(高田美和)と地域を仕切る下仁田組の若き親分・佐吉(成田純一郎)は恋仲だったが、のぶの養父・島蔵は佐吉の先代になわばりを奪われた元代貸で、佐吉に敵意を抱いていた。島蔵は矢切の東九郎と組んで佐吉を潰すべく、剣豪の浪人・棚倉蛾十郎(北城寿太郎)を雇うが、彼の連れは座頭市の元恋仲の女(万里昌代)だった....   

盲目の渡世人である座頭市を中心とした人間ドラマが描かれており、様々な人たちの運命が交差する。
ゴジラのテーマ曲で有名な伊福部昭がシリーズ第1、3作に続き、再び本作でも音楽を担当しており、作品に重厚感を醸し出している。
座頭市の元恋仲の女性との切ない物語が綴られる。
盲目の渡世人の座頭市は彼女が堅気の大工と結婚して幸せになっていたと思っていたが、彼女はさまざまな業を背負って裏の世界で生きていた。
彼女との再会を選ぶ一方で不幸な境遇を気遣う座頭市。
さらには息子を斬ってしまった老婆への心遣いが切なくも温かい。
息子を失った老婆と母を知らない座頭市の心情が交差する。
「おっかあ~」
好いた女を幸せにできなかった座頭市が、命を賭けて若い男女の仲を優しく取り持つ。
「お二人とも末永くな」
クライマックスでは矢切の東九郎が率いる大勢の配下を次々とバッタバッタと斬っていくが、剣豪の蛾十郎との一騎打ちで、座頭市の刀は棚倉の一太刀で折れてしまう。
果たして座頭市の運命は如何に? 

2024.1 BS12で鑑賞
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