新作も気になる、青春三部作が有名なセドリック・クラピッシュ監督作品。
随分久しぶりだったけど、このセンス、ユーモア、やっぱり好みだった。素敵だった。
監督が故郷パリを舞台に、ジュリエット・ビノシュ、ロマン・デュリス、メラニー・ロラン、ファブリス・ルキーニら豪華俳優たちの共演で描く贅沢感のある群像劇。
心臓病を患うダンサーのピエールと、彼を案じて同居を始めるシングルマザーの姉エリーズ。彼らを中心に様々なパリの人々の日常が交差していく…
ソルボンヌの大学生(美し過ぎるメラニー・ロラン)。彼女と関係を持つ歴史学者。その弟の建築家。文句ばかりでうるさいパン屋の女店主。ちょっと下品なマルシェの中年達、ファッション業界の女たち、そして不法移民…。
パッチワークのように紡ぎ出されるパリジャン、パリジェンヌの悲喜こもごも。
確実にお国柄も感じつつ朗らかに、また繊細に、ユーモアも交えて描くそれぞれの人生がみんな愛おしい。
姉弟の住むアパルトマンのベランダから見えるパリの風景が美しい。全てを受け入れ包み込み、変わらず時を刻む…
郷愁すら誘う。
それにしてもビノシュ44歳のなんともチャーミングなベッド・イン前の不思議ダンス。
通して悲哀に満ちた表情と背中が印象的なロマン・デュリス。
そしてクライマックスのピエールの言葉が沁みる。