sakura

月のsakuraのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

あのあとに続く言葉は、「だから産めない」だろう。
考えれば考えるほど、冷静になればなるほど、“一生好き”な相手との関係を脅かす可能性が少なからずある(障害だけに限らず)選択は、本当だったら、きっと、できない。
それなのに、あのお墓参りのシーン本当に上手かった。あんっな風にパートナーに喜ばれたら、どんな賭けでもいけてしまう気がするし、挑戦したいと思ってしまう。思ってしまうものなのだということの描き方がものすんごく上手。


なんか、この作品の感想で「見たくないものを見ないことにする」言葉を綴るのは「ずるい」と思うので、わたしはここに残す言葉に責任を持ってこれからも生きていくけれど、
事件当初からわたしが抱いた感情は「すごい」だった。
適切か不適切かではなく、自分で言っておきながら感情に対して言葉が不足している気がして「すごい」がぴったりとは思えないのだけど、今のところそれ以上の言葉も見つからない。

被害者がいる出来事で、加害者を英雄視したいわけではない。なにが「すこい」と思ったか。
それは、もちろん自分のすべてを賭けて“社会”の問題に向き合ったこと、この世の誰よりもその問題について考えたこと。

考えるって、面倒。
見なくて済むなら見なかったことにしたいし、だからわたしたちは出生前診断の結果を知ったことでなにかを撰べる立場になったと思ってしまう。そのときまで、「当事者」になるその瞬間まで考えてこなかったから。
そこに向き合い、考え、自らを犠牲にする、という選択がわたしにはできないからして、やっぱりそこにある種の「すごい」という感情を持ったのだと思う。
「許されることではない」「優生思想」「遺族の気持ちを…」そんな言葉はいくらでも簡単に思いつくことができるけれど、自らに「じゃあわたしは何かしたのか」と問うたらとてもその言葉は彼には向けられない。

自らを犠牲に、の部分で言うと、彼女が仕事に向かうときの笑顔、つらかったなあ
こことお墓参りでオダギリジョーが歓喜するシーンの2箇所は、唯一涙が浮かんでしまった。あまりにきつくて
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