るか

ダム・マネー ウォール街を狙え!のるかのレビュー・感想・評価

3.8
『哀れなるものたち』が高級ギリシャ料理だとするならばまさにこの映画はチーズ増し増しのハンバーガーというところだろう。固有名詞も出しまくりの熱いストーリーだった。オタク魂とインターネット上での結束感のみで金融機関の構造そのものを変えてしまうのは実にアメリカ的な結社による喧騒の物語。日本にもこの活気が欲しいなとも思ってしまった。
演者陣はみな非常に素晴らしかった。特に主演のポール・ダノは『The Batman』といい、ナードをやらせたら世界一いいんじゃないだろうか。学生のカップルも良かったし、病院の2人も最高。
音楽もHiphop好きの自分にはハマる。ケンドリック・ラマーのHumbleの使い所も良かったし、Savageのバズを思い出させてくれた。
ただ手放しで喜べないのはここ数年の実際のアメリカにおける圧倒的ホワイトカラーへの不信感が全面に出た作品という側面があるからだ。やはり作品として楽しむにはあまりに直近の出来事過ぎる気もした。株式取引が労働者とブルジョワの代理戦争のようにも見え、対立の溝は深まるばかりだなと。
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