るか

カラーパープルのるかのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.4
劇場に行けなかったことを激しく後悔。140分を超える長編のほとんどでこぶしの効いた力強い歌声を堪能できるミュージカル。是非、オリジナルバージョンのスピルバーグの物も鑑賞したいと思った。個人的に普段からカニエ・ウェストなどゴスペル色の強い音楽を好んで聴いているからか、序盤の導入からノれた。(“Hell no no no”は少し笑ってしまったけど) 物語全体としても「黒人だから〜」、「女性だから〜」というカテゴライズされた人へのとって付けたような応援ではなく全ての人類に通づる愛と贖罪の幹の太い物だった。作品を通して様々な人々の成長が描かれるが、個人的にはソフィアとアルバートがお気に入り。主人公家の長男の嫁として出てくるソフィアだが、登場時はまさに「尻に敷く」を具現化したような存在。従う人生を歩まされてきた主人公との対比としてもいいし単純にキャラが立っていて素晴らしい。またその後の投獄されてしまってからの為人の変わり様は凄まじい。演者の方、メイクともに素晴らしい仕事をした。特に復活祭で食卓を囲みながら彼女自身が“復活”するシーンでのあの笑いは思わず震えた。あの絞り出すようでかつ、溌剌とした笑いは素晴らしかった。そして、アルバート。妹に手を出そうとし、拒まれたら銃で脅しながら家を追い出し、毎回主人公を引っ叩くので序盤はひたすらに憎たらしく思えるが、主人公が家を出て行ってしまってからの転落と惨めさは思わず同情してしまう。そして、妹の入国手続きを役所にしに行くシーン。大金がかかるという返しに「そうか、お世話様」とだけ返す。その後彼女の店に行く時の哀愁の漂い方も最高だ。ラストも大団円で畳み掛けてくる。素晴らしいゴスペルミュージカルで間違い無いだろう。
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