ねむろう

ダム・マネー ウォール街を狙え!のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

2024新作_020


”ダイヤの手”で、ウォール街に挑め!!


【簡単なあらすじ】
コロナ禍の2020年、マサチューセッツ州の会社員キース・ギルは、全財産5万ドルをゲームストップ社の株に注ぎ込んでいた。アメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売する同社は時代遅れで倒産間近と囁かれていたが、キースは赤いハチマキにネコのTシャツ姿の「ローリング・キティ」という名で動画を配信し、同社の株が過小評価されているとネット掲示板で訴える。すると彼の主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始め、21年初頭に株価は大暴騰。同社を空売りして一儲けを狙っていた大富豪たちは大きな損失を被った。この事件は連日メディアを賑わせ、キースは一躍時の人となるが……。



【ここがいいね!】
金融の世界を描く作品はたくさんありますが、私自身はそんなに多くは観ていません。
この作品を見て思い浮かぶのは、『マネー・ショート』(2015)や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)です。
そんな中でも、この作品は株の騒動を舞台にしており、非常に最新版の話だと思います。
非常にスカッとする、エンターテインメント性の高い作品だと感じました。
ヘッジファンドによる空売りに対抗して、小口投資家や一般の市民が行う投資に立ち向かう話です。
非常にわかりやすい勧善懲悪の物語で、ジャイアントキリング的な要素もあり、観やすい作品でした。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『マネー・ショート』では描かれなかった、一般庶民の目線での話だったからこそ、分かりやすかったのだと思います。
作品の中で、登場人物の現在の資産が表示されることで、ゲームストップの株の上下が見えてくる描き方がうまくいっていたと思います。
非常に小気味よく、ポップな語り口で、『バイス』(2018)のようなアダム・マッケイ的な語り口も良かったです。
特に、一般庶民がどのようにして投資に関わり、どのような影響を受けるのかがリアルに描かれており、共感しやすかったです。




【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
庶民へのフォーカスはある程度つけていましたが、ヘッジファンド側の資産家たちの思惑ももう少し描いてくれると良かったと思います。
また、なぜゲームストップ株だったのかという説明も冒頭でされていましたが、それ以外の実店舗小売はダメだったのか、ダウンロード型のゲームの販売はどうだったのかという比較もしてくれると良かったと思います。
さらに、ヘッジファンド側の戦略や背景についてももう少し詳しく描かれていれば、物語に深みが増したのではないかと感じました。




【ざっくり感想】
非常にスカッとする作品でした。
2024年から日本では新NISAが始まり、株に注目がさらに集まる年だと思いますので、この作品自体の注目もさらに上がると良いなと思います。
特に、一般庶民がどのようにして投資に関わり、どのような影響を受けるのかがリアルに描かれており、共感しやすかったです。
エンターテインメント性と社会的なメッセージがうまく融合しており、観客にとっても考えさせられる作品でした。
ねむろう

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