サマータイムブルース

ボブ・マーリー:ONE LOVEのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
4.0
レゲエの神様、ボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディルさん)の生涯を描いた伝記ドラマです
音楽は聴いていたけど、その人となりは全知らなかったので、今回知ることができて良かったです
ボブがだいたい31歳から33歳(1976年〜1978年)頃のお話です
予習して臨みました

当時のジャマイカは2大政党の対立により、内戦寸前にまで追い込まれていました
ボブはその対立に巻き込まれ、コンサートの2日前、自宅で練習中に銃撃されます
ボブは胸を撃たれます
妻のリタは頭を銃撃されますが、ドレッドヘアがクッションとなって助かります(マジ?)

それでもボブはケガを押して平和コンサート「スマイル・ジャマイカ」のステージに立ちます
しかしこれ以上ジャマイカにいては危険と判断し、イギリスに避難します

イギリスではザ・クラッシュのライブを見たり、パーティーでミック・ジャガーに遭遇したりします
このイギリスで製作されたアルバム「エクソダス」は20世紀最高のマルバムと言われています
そして、ヨーロッパツアーを敢行します

ところどころ、子供の頃の回想シーンが挟まれます
ボブは1945年イギリス海軍の大尉の白人男性とアフリカ系ジャマイカ人の黒人女性の間に生まれました
その時父は61歳、母は16歳
なんと年の差45歳!!
昔はイギリスの植民地だし、奴隷制度あったし、何か嫌な感じします

出産後間も無く両親は離婚、父親に捨てられ、母と2人で暮らしますが、父親も70歳で他界します
ボブは父親を恨んで育ちます

ボブは“ラスタファリズム”を信仰しており、そのシンボルでもあります
“ラスタファリズム”とは旧約聖書に出てくる古代イスラエル人(ユダヤ人)は自分たち黒人の祖先であり、古代イスラエル人の離散は黒人がアフリカから奴隷として世界中に売られたことであり、今も囚われの身である我々黒人を救世主(ヤハウェ=ジャー)が救済し、世界中の黒人を約束の地アフリカに導いてくれるという宗教的思想運動です
その髪型は“ドレッドロックス”が特徴です
これは聖書の中の記述により、自身の体に刃物を当ててはならないということから生まれた髪型です

ボブを演じたキングズリー・ベン=アディルさん、きれいなジャイアンでした(笑)

ボブ、決して聖人君子として描かれてません
マリファナも吸うし、妻以外の女遊びも激しく、あちこちでたくさん子供を作ります(11人と言われているけど、多分それ以上)
パーティでリタが他の男と親しげに話しているのを見たボブは嫉妬して怒ります
リタはあなたこそあちこちで浮気して何様よ!!と、ビンタ喰らわせます
それでいて、家族愛は人一倍強いボブなのでした

ある時足の親指にメラノーマができます
医者からは指の切断を勧められますが、前述の“ラスタファリズム”の思想により断ります
これが致命傷になります

彼は病を押してジャマイカに戻り、平和のために「ONE LOVE」コンサートのステージに立ちます

もう何より全編通して流れている音楽が素晴らしい!!
後半にかけての盛り上がりがすごく良かったです
見てるうちに熱いものが込み上げてきて感動しました

ただ、「ONE LOVE」コンサートの映像が省略されていたことだけが残念
長くなってもいいから、クイーンの“ボヘミアン・ラプソディ ”がライブ・エイドの映像で終わったみたいに、こちらもそうしてほしかったな

ただし、エンドロールで、実際の“ONE LOVE”コンサートの映像が流れ、その中でボブが対立する2大政党の党首を舞台に上げて握手させるシーンが映ります
音楽が平和をもたらした瞬間です
とても感動しました
映画館で見るべき映画だと思いました