ベルベー

ボブ・マーリー:ONE LOVEのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ボブ・マーリー周りは好きな人多いけど自分は全然通ってこなかったので、曲は聴いたら分かる程度なのと、あとマリファナと大麻めっちゃやってた人ってイメージ。だから麻薬との向き合い方とかテーマに含まれてるのかなくらいで観たんですけど、何を今更だったらしく麻薬には全然フォーカスされてなかった。というか終始当たり前のように吸ってた。なんかすみませんでした。

音楽や人生観の根底に(というかわりと前面に)宗教があるということも、ファンからしたら当然なんだろうけど自分は知らなかったので新鮮に観ました。で思ったのはボブ・マーリーって破天荒な人生である一方で凄く理知的な人でもあるのね。劇中でもずっと本読んでるし。ステージ上のパフォーマンスは奇抜だし、ラリってるし、浮気し放題のヒドい奴だけど、それらと理知的であることは両立するのだ。困ったことに。

で、そんなボブ・マーリーを体制に立ち向かった勇敢な(ある種向こう見ずな)男というよりは、そのポジションに辿り着いてしまったことに怯み、しかし開き直って逃げ続けることも良しとせず自らの責任と向き合おうとする「人並みに」善良な男として描かれている。その人並みさ、人間臭さこそが最も伝えたかったことではないだろうか。ラスタファリという背景はありつつ、超越してしまった男ではなく、良き友人であり良き父親だったんだよって。良き夫とは言えないのが残念だが、それもまた人間臭さなんだよな…。

等身大の男だからこそ、スターらしくオーバードーズとかではなく癌で死ぬことの残酷さ哀しさも際立っていた。生きたかったんだよなボブ・マーリー。刹那的に生きて燃え尽きて死ぬ、みたいな生き方は望んでいなかった。ここらへん、かなりグッときました。

一方で、必要以上に等身大の男に見せようというバイアスが働いていなかったか?とも思った。「エクソダス」の大成功はともかく、彼の偉業をかなり端折ってるんだよね。ジャマイカ国内での大成功とか。対立する政党の党首に和解の握手をさせるなんてとんでもない偉業なのに、エピローグで済ませちゃうんだもんな。マーリーの家族が作った映画なので、そこが大事じゃないというのは分かるんだが。でもテロップがやたら多いのは映画の作りとしてどうなのとも思うよ。

ライブシーンは音楽映画としては少なかったけど、マーリーの曲やパフォーマンスのカッコよさは十分伝わってきた。しかしキングズリー・ベン=アディル、等身大のボブ・マーリーを演じるにはいくらなんでもカッコ良すぎないか?顔もスタイルも良すぎてボブ・マーリーに似てなかった笑。あとラシャーナ・リンチが妻役なんだけどマリア・ランボーと違いすぎて気が付かなかった。
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