MotelCalifornia

ナポレオンのMotelCaliforniaのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.6
すごく期待してたんだけど…。
いや、「期待通りだった。」というのが正しいか。

さすが名匠、全てのカットが絵画のように美しい。
特に戦場シーンが素晴らしい。迫力、絵力、戦闘のわかりやすさ(これ大事。何が起きてるかがよくわかる)、残酷さ(ゴア表現はめちゃ攻めており、戦場の悲惨さがよく伝わってきた)、どれも一級。
ナポレオンは冷酷無比なエゴイストというイメージだったけど、ホアキン・ボナパルトはとても人間的で情けなく、一途。なんか知らんうちにどんどん出世しちゃって、国家を背負う存在にまで上り詰めてしまい、国のために愛する人と離婚をしなきゃいけないことに涙する…。いい奴じゃないかとすら思えた。新しいナポレオン像、いいじゃん。

と、まあここまでは褒めてしかいないんだけど、でもなんか全体に淡白なのだ。彼の人生の超〜ハイレベルな高級・再現ドラマを見せられたような…。迫力の戦場シーンにしっかり尺を割いた分、ドラマの深掘りが足りてないのかな?
リドリー・スコットとホアキン・フェニックスが組んでナポレオン映画を撮ると聞いたとき、我々が想像した通りのものが出てきた感じ。それをずっと上回る何かを期待してたんだけど。

時代はサクサク進むし、編集のテンポがいいからか 150分もあるようには思えないのだが、ドラマパートを今以上に長くしたら苦痛になる気がするし、どうだったら僕はもっと心を掴まれたんだろう?
バリー・リンドンみたいな長さが逆に心地いいみたいなものなら満足したのかな?自分でも答えがわからない。

子どもの頃に読んだ本の印象では、彼が最期を迎えたセントヘレナ島は枯れた岩だらけの絶海の孤島というイメージだったけど、もっとしっとりした楽園チックな場所で、なんかホッとした。

いやー、本作然り、スコセッシの『キラーズ〜』然り、巨匠に潤沢に予算を与えて、自由に(?)映画を撮らせるApple、最高です。フィンチャーとNetflixの関係性も、そうだ。映画らしい映画の灯火を残す存在が、古くからのスタジオじゃなくテック企業になるとはね〜…
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