Skyler

インビクタス/負けざる者たちのSkylerのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

反アパルトヘイト運動で27年間の投獄を終えたのが1990年
その後世界中の世論から支持を受け、南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任したのが1994年

わりと最近の出来事だから、実際に覚えている人も多いだろうね
私もマンデラ氏訪日の折、間近で氏を拝見しました

歴史が変わったからといって、長すぎた差別の歴史は一瞬にして変わるはずもなく、そこには差別した側もされた側もそれぞれの思いがあり、葛藤がある。

今作を見る限りマンデラ氏は、改革の時もあれだけの支持を受けたほどの才覚の持ち主であり、官邸内の白人と黒人、更には弱小だった自国のラグビーチームを結果として優勝に導くほどの人格、政治的能力も備えた人物だったことは伝わった。

だけど、個人的には感動ポイントはどこにもなかった。

1つには人物に感情移入できない
イギリスとの試合では、国の9割である黒人は、対戦国イギリスを、1割の白人はナショナルチームスプリングボクスを応援していた
当然マンデラ大統領もボクスに期待してはいないだろうと思っていたのに、実はボクスの優勝を願っていた事がわかり、そこからはキャプテンとして1人を除いては白人のみのチームメイトをまとめあげ優勝に導く

ストーリーは素晴らしく、チームのキャプテン、フランソワのリーダーシップも素晴らしい
だけど登場人物の心が伝わって来ず、感動に至れない

黒人のメイドの前で、マンデラを嘲笑っていたフランシスの両親。フランソワの内面の変化とともに変化していくが、こちらも気持ちが伝わって来ず感動に至れない

大統領の側近、女性秘書についても優秀で大統領の片腕の存在だけど今ひとつキャラが掴めない

そんな中で唯一わかりやすかったのは、
試合当日、大統領には絶対に無事でいてほしいとこぼす黒人SPに対し、白人SPは自分だってそう願っていると。
このシーンだけは、マンデラ氏の努力が実ったことが実感できたシーンだった

それから音楽がことごとく安っぽかったのはいただけない
感動場面なのにシーンに合わない音楽が邪魔をして、集中出来ない
センス無さすぎ
中途半端な家族の話も要らない

その後は、
フランシスの両親がメイドの観戦チケットを用意するとか
白人パイロットによる飛行機を使った派手な演出のメッセージ(一番ハラハラしたシーンだったけど)送ったりとか
感動場面のオンパレード

決勝試合前に、ボクスメンバーの一人一人に、そして相手チームの一人一人を激励した大統領の行動は事実として素晴らしく感動した
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