Kuuta

サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版のKuutaのレビュー・感想・評価

3.8
インナー適当でも上着ちゃんとしてたらええやろ精神、モテないから金が貯まる人生、そんな男をジャンピエールレオが演じるのだから支持せざるを得ない

バイトでサンタの衣装に身を包むことで、失敗続きだったナンパが嘘のように、女性に受け入れられる(どこまでボディタッチできるか試し、痴漢と化す)。その後も犯罪でお金を稼ぎ、念願のダッフルコートを手に入れるが、既に流行は過ぎ去っており、脱いだ時の虚しさが年末年始の喧騒と共にやってくる。コート以外の服は買えていないし、友達の中には「大人」になって離れていった奴もいる。それでもまだ残る仲間を連れて、照明ピカピカの空っぽの街を騒ぎながら歩いていく。

ナンパを嫌がる女性を追いかけるカメラの往復、所在のなさを隠すように画面をジャンピエールレオが彷徨くものの、フレームアウトで途切れる。周りで人は動いているのに、自分だけ時間が止まっている。何か起こりそうでなにも起こらない。

ガラスの内側に入り、コートを脱ぎ、再びガラスから出てくる終盤のレストランのシーンが印象的だった。
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