ポレ

きのう生まれたわけじゃないのポレのレビュー・感想・評価

2.5
ミュージカル映画を批評するのに、歌い踊ることを批判するのは粋じゃない。本作は詩人であり映像作家である 福間健二 監督の作品である。映画的な演出とは一線を画している。ゆるい時間が流れるし、演技は芝居じみている。

監督自身が出演しちゃってて、演技が最高にゆるい。ゆるすぎてうたた寝しちゃったくらいゆるい。上映前の舞台挨拶で「福間監督の作品を観ると、なんとも言えない気持ちになりますよねー」と劇場スタッフの女性が話していたが、なんなら鑑賞中からなんとも言えない気持ちになる。

でも本作は詩と映像が融合した作品なのだ。ポエムへ関心がないのに、ユリイカをおもむろに取ってペラペラとページを繰り、「はぁ〜、詩の世界って意味わかんない」嘆息するのが不粋なように、超ライトなミニシアターファンの僕が、その表現方法をめぐって批評するのは野暮なのである。

困難を抱える人たちが老若男女関係なくゆるく繋がり合って、前に一歩踏み出す勇気を少しもらう。作品の底流にある優しさに触れて、なんとも言えない温かな気分になれれば十分じゃないか。そんな作品だったと思う。
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