いもうえゆき

市子のいもうえゆきのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

終わった後なんだかめちゃくちゃ考えてしまった。それはやっぱり結末的なものがはっきりと描かれていないせいもあるし、しっかりと何人かが市子との関わりの中で死んでしまっているという事件感のせいもあると思う。考えてしまう映画というのはそれだけで心に残るから良い体験だし、杉咲花と若葉竜也の演技が素晴らしく、あてがきじゃないかと思うくらい憑依していて見入ってしまった。杉咲花の泣く演技はもともと好きだったからそれを見るには最高。でもずっと苦しかった。障がい児を家族に持つこと、無戸籍者、殺人と重い内容のオンパレードで、市子がおかしくなるのも無理はない。怒りや絶望を超えてもはや虚無になっている部分もあってせつなかった。そんな中で市子という名前だけが生きるよすがだったのだろうか。そこにしがみつくあまり、目の前の幸せも手放してしまう酷さ。ケーキ屋の友達との幸せもそうやって手放してしまったのかな。
過去に対しては何もできないことを分かりながら今のあなたに歩み寄ろうとする人と自分が助けてあげるというイメージに縛られて目の前の市子を見れない人の対比は面白かった。展開と時系列が徐々に分かっていく感じも面白いけど、やっぱり私ははっとするセリフを求めてしまうので、そこに関してはわりと予想できるセリフが多くて残念だったかも。あとカメラワーク近すぎたりブレが多いのも少し苦手なんだよな、、