指の小指

市子の指の小指のレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
主人公である市子は三年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川からプロポーズを受ける。しかし幸せに見えた彼女は翌日、突然失踪を遂げるー。

劇中まだ序盤のあるシーンで登場する“仮定法過去完了”。まさに観ている側は、様々な人々の視点から“川辺市子”の過去を知ることで、現在の彼女の人物像を掘り下げていくことになっていきます。

冒頭と円環構造を成すラスト、安易な共感性を許さないシリアスさ、とてもとても重みを感じる作品でした。

真の意味での「市子」の存在とアイデンティティを考えさせてくれる杉咲花さんの演技は息を呑むばかりで、他は考えられない素晴らしいキャスティング。

市子が本当に求めていたのは全てを洗い流す雨ではなく、きっとその先に見える景色だったのだろうなぁ。

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