rage30

市子のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

行方不明になった恋人を探す男の話。

行方不明になった恋人が偽名を使っていた事を知る主人公。
そこから映画は恋人の生い立ちを描いていきます。

幼少期から家庭に恵まれず、更には無戸籍として生まれ、殺人を犯した事も明らかになると。
なかなかに不憫で過酷な人生を生きてきた市子には、同情を禁じえない事でしょう。

ただ、映画全体として見ると、不幸エピソードの羅列がひたすら続くので、単調に感じてしまう部分もありました。
中盤で新しい謎を投入するなり、後半でガラっと視点を変えるなり、もうちょっとミステリー的な仕掛けが欲しかったですね。

あとは、おそらく本作のクライマックスとなる、市子が妹を殺める場面がイマイチ響かなかったのも残念。
サプライズとして見せたいのなら、妹を殺した犯人を義父や母親にミスリードすべきだったと思うし、メロドラマとして見せたいのなら、市子が妹の介護に疲れ果てた様子を見せて欲しかったです。
ただでさえ、市子は本心が掴めず、感情移入が難しいのに、あれでは何となく妹を殺した様にしか見えず、むしろ市子から心が離れてしまいました。

あれだけ恋人に想いを抱きながら、他人を殺して戸籍を奪う…というラストも腑に落ちないものがあるし、個人的にはハマらない作品だったな~という印象。
たまたま直前に、本作と似たプロットの『ある男』を見た影響もあるのかもしれませんが、私としては『ある男』の方が好きですし、本作がハマらなかった方には『ある男』をオススメしたいなと思います。
rage30

rage30