よる

市子のよるのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
5.0
自分の幼少期とオーバーラップして喉の奥が焼けるようだった。

長谷川との生活で自分が普通の人間に慣れたような気がして、でもある日TVから流れてくるニュースで自分が普通の幸せを享受するべきでない人間だと思い出す絶望。
二人で撮った写真を見て涙をぼろぼろ流す市子の気持ちがよく分かる。
田中や北の、未熟ゆえの身勝手な性愛のマネごとみたいな問答。自分の心地よさのために、過去から逃れたい市子を雁字搦めにして、一方的に高まった感情をぶつけて受け入れてくれなければ癇癪を起こす。
小池も含めて幼稚な男に囲まれて成長した市子にとって、長谷川は本当に救いだったと思う。だからこそ山中の死体発見ニュースに心底衝撃をうけ怯えたに違いない。

母親すらどうにもできない娘の存在を市子に始末させていつまでも自立せず生きてる。
どいつも市子に自分の気持ちを擦り付けすぎ。長谷川と、後藤刑事だけが冷静に市子を見つめてくれていたと思う。
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