Kuuta

台風クラブ 4Kレストア版のKuutaのレビュー・感想・評価

台風クラブ 4Kレストア版(1985年製作の映画)
4.2
お前みたいにはならない、と言われた三浦友和が窓を開け、不恰好に雨を浴びる一連の流れで作中の彼と同じ年齢の私は死にそうになった

時間をかけて推敲していきます。メモをとりあえず投稿。

冒頭の息継ぎが全体を物語る。あの世の水、この世の空気を行ったり来たりしながら成長する子供は、風と水がごちゃ混ぜになる台風にタガが外れてしまう。

誰かを覗き見る構図が繰り返される。誰かに欲望され、誰かに見られていると知る。理恵は母と三上がいないから東京に行くが、大学生に見られ、東京でも閉じ込められることを拒否する。序盤から窓を開けて外を見る三上。三上だけが俯瞰し、人工呼吸のやり方を知っている。最後に三上はガラスに写った自分を見てしまう。

縦横無尽に暴れるプールの祝祭感(無人の祭壇を囲む踊り)に相米慎二だなあと感じ入るも、祭壇に生贄を捧げれば、終わらない日常が帰ってくる。夜の暗さが素晴らしい映画にも関わらず、最後に明るい校舎を持ってきて、統御された「運動会」が始まる。

学校にいたがる子どもたちは外に出たいのか、出たくないのか。閉鎖空間を独占することで解放されたと思い込む。彼らの振る舞いは虚構に過ぎない。犬神家やシャイニングの模倣に過ぎない。ビューティフルドリーマーの公開はこの前年。消費社会が一巡した後?虚しい自家中毒、時代を反映している感じはする。

ホームルームのあちこちで小競り合いが起きる場面の長回し、すげえとしか言えない。
理恵の雨の東京のダッシュも素晴らしい。オカリナは両親?

黒沢清の話。何かが起こる予感に満ちている。キャラクターの感情や物語に先行するアクション。予感を上回る飛躍。だから目が離せなくなる。
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