Lila

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのLilaのレビュー・感想・評価

4.2
もうアカデミー賞ノミネート作品の一気見が止まらないので、このまま突き進むことにします。これは丁寧に紡がれた癒し映画です。2023年は豊作過ぎやしないだろうか!

1970年代の再現が心地よく、ゆったりと時が流れる骨董品屋さんを歩き回ってるような気分になれて、とても癒されます。

設定や内容は「Dead Poet Society (いまを生きる)」にどことなく似てます。でも、この作品は寄宿舎が設定であるものの、大人2人の人生も重なり、ダイバーシティがあるのが魅力ですね。ロードムービー要素もあります。

居場所のない子どもが、大人といた方が落ち着く瞬間はあると思っていて。特に優秀な子であればあるほど。
”yeah, friends are overrated”

全く異なる大人2人と未成年1人の3人が、状況だけを共通項として一緒に過ごすクリスマスの様子は、友人同士でもあり、それぞれが求める家族像のようなものでもあるところにほっこりしました。求めているお父さんとお母さんであり、息子でもあり。

ポールジアマッティは噂通りのハマり役ですが、他のキャストもとても良かったです。新人俳優のドミニク・セッサは目がハマり役でしたね。賢さと恨みと孤独が掛け合わさったような魅力的な目でした。(全然関係ないですが、ちょい笑われ者の男の子がザック・エフロンに似てて気が散りましたw)

淡々と流れるところがリアルなのですが、盛り上がりが好きな人には物足りなかったり長く感じたりするかも?です。でもこの作品は、このトーンがピッタリだと思います。ゆっくりと時間をかけながら、3人を好きにさせてくれて、夢中にさせてくれます。

その大円を描きながらも、ラストが割とサッパリなんです。でもそれが現実であって、そんな急に人はドラマチックに変わりません。でも言葉少なめに、お互いに通じ合い、感謝があるのも伝わります。

走り去る青年Angusに「この感謝を忘れないでよ!彼の想いを無駄にしないでよ!精一杯生きてくれよ!」って、観てる側も願掛けしたくなる「危うさ」のようなものが好みでした。まさに青年。

泣いて笑って、泣いて笑っての繰り返し。ドラマとコメディの塩梅がとても良かったなあ。音楽が最高で、余韻に浸っちゃいます。にしても、この邦題で伝わるかな…一応(仮)ですね。「居残り」みたいなところですが、「人生の残留組」みたいなことでもあるのかな?と。

もーー作品賞も大暴れ拮抗してますが、どーすんのよ、本当に。2023年は良い作品多過ぎますって!

ちなみに、インタビューはこれが面白かったです。Angus役の候補は800人いて、一度もカメラの前に立った事のない初心なドミニクが勝ち取ったこと。最後のダヴァインがノートを渡すシーン、実は序盤に撮影していることからまだ実は知り合っていなかったものの、お互いの繋がりが感じれて演じれたこと、など語ってますが、やっぱりポールの言葉が響きましたね。

「ポールは、2度とこの青年には会わない。でも教師は日々これを繰り返してるのだ。」

https://youtu.be/bfsOjo7-RgA?si=9zrVjXq6U7Qi87sp
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