Hiro

ぼくを葬る(おくる)のHiroのレビュー・感想・評価

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
3.8
「Le temps qui reste/僕を葬る」
題材はありふれていながら、どこまでも美しい作品でした。
ロマンにとって死とは自分だけものであり、両親にも恋人にも兄妹にも打ち明けはしないが、ただ一人祖母にだけは打ち明ける。
一つ一つのシーンがとても丁寧で、かといって描写されすぎることもなく淡々と進んでいくのも良かった。ありふれたお涙頂戴な物語にならないところは、流石オゾン監督です。
「僕を葬る」という題名もとても良かったと思います。原題は「残された時間」という意味ですが、「死」を自分だけのものとして扱うロマンは、葬られるのではなく、自らを「葬る」存在でしょう。

ラスト、海辺に太陽が沈みながらロマンの痩せ細った身体が映し出される。海は生命の源とも言われていますが、まるでロマンの魂が海に帰っていくような、とてつもなく美しい終わりでした。
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