Hiro

わたしは最悪。のHiroのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.1
「わたしは最悪。」
なんだこの上質で軽やかで、かつ重みのあるストーリーは。人は結局、ずっと何かを追い求めて苦しくて、だけどその中でも僅かな喜びを感じて生きていくのかもしれない。

もっと理路整然としないストーリーかと思ってましたが、全然主人公最悪じゃなく無いか…?なんで「わたしは最悪」なんていう題なんだ??と思っていましたが、ストーリーが進むにつれて納得。アクセルから見た彼女は「最高」だった。だけど、彼女はずっと「最悪」だと思ってたんだな。実際そうだったかもしれないし。

とにかくアクセルとの関係性が好きです。というか、アクセルの愛し方が好きです。
「君が忘れていることも僕は覚えている」なんてことを言える相手に巡り会えただけで、生きててよかったと思えるよ。だからこそ、そんなアクセルを傷つけてしまったユリヤは辛かっただろうな。

所々にフェミニスト的要素と社会問題へのアクションが練り込まれていて良かったです。ちょっとだけ唐突な気がしないでも無かったけど。でもわかる。忙しい日々の中で、誰かを気にしている余裕なんてどんどん無くなって、でも全く気にしないでもいられない。どうやって自分の人生と向き合いながら、社会と向き合っていけばいいのか、私もいまだに分からずもがいています。

こんなにも痛くて、生々しい物語なのに、ラストを迎えるとこんなにも爽やかな気持ちになれるから不思議です。

あの日、あの時、だけではなく今、この瞬間、自分がしている選択が正しいと胸を張って言えるだろうか。間違いじゃなかったと言えるようにするのはいつだって自分自身で。

あの時の自分キモかったよな、と言えるようになるのが人生だとどこかで読みました。本当にその通り。でもその時の自分は必死で、キモいのもよく分かってて、どうしようもなくて最悪で。そんな最悪な自分をゆっくり愛していくのが人生なら、なんだか悪くもない気もします。

それにしてもオスロの空よ…綺麗すぎやしませんかね。また一つ行きたい国が増えてしまったな.
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