ケン・ローチの長編デビュー作。
荒削りながら、彼の作風の原点であり、この頃から既にイギリスの労働者階級の社会問題を背景にした描き方は全くブレない。
なりゆきで結婚した夫が家庭を顧みずに、犯罪で金を稼ごうとして逮捕されるという不遇。独り身で子育てをする中で、運命的に惹かれ合う男性ともうまくいきかけるが、その男性も犯罪で逮捕されてしまう。
より良い暮らしへ抜け出そうとするも抜け出せない負の連鎖。個人の問題ではなく、社会の問題という視点はほんとに今と変わらない。
淡々と市井の人たちをドキュメンタリータッチに描くスタイルもブレない。
音楽的な演出では、ドノヴァンの曲と歌詞がこのドラマともぴったりとあっていて、沁みた。