パイルD3

エクソシスト 信じる者のパイルD3のレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
2.5
三部構成のリメイクという触込みの一作目だけに期待したが、これはどう見てもリブート作品
生まれて初めて悪魔祓いの映画を観た人にどう映るのかはともかく、フリードキン監督版には遠く及ばないシロモノと断じていいと思う

最後まで引っ張ってくれるレギュラーホラーとしての展開はブレてはいないが、旧作のあの2階の一室に全神経を集中させられるような、息詰まるほどピリピリ釘付けされる恐怖感は極端に薄い

何しろ人物があちこちに行き来する度合いが高過ぎて、肝心の悪魔憑依と悪魔祓いの絵姿は、人それぞれの信仰心を軸にかなり唐突な流れで見せるので、いかにもとっ散らかってしまっている

この監督の悪い癖とも言いたいが、ジャンプスケアの多用が過ぎる
ストーリーの深掘りよりも音で脅かして、説明不足のまま尻切れで次の場面に移行するコケ脅し中心の手口は相変わらず
悪魔のもたらす脅威による衝撃度は低い

旧作では、悪魔祓いに至る経過をタテ糸に、悪魔に取り憑かれた少女と母親、聖職者と精神病院に入れられた老母というふたつの苦悶する親子像をガッチリとヨコ糸にしていて、ドラマ部分は強靭だったが、前置きが長い割に本作にはそんな太い根幹部分が無い

…とまあ、口を開くと旧作との引き算だけが苦言としてあふれ出てしまうが、旧作があればこその小さな興奮がラストに準備されている
セリフにも出てくるが、〝希望は最後の砦“、やりきれない流れの中で、正にそれを見せたのは救い
この作品の中の唯一の神ワザと言っていいかも
パイルD3

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