パイルD3さんの映画レビュー・感想・評価

パイルD3

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新しき世界(2013年製作の映画)

4.5

「貴公子」で相変わらずのパワーを見せつけたパク•フンジョン監督が超一流のストーリーテラーとして、ややマンネリ気味だった韓国ノワールに新たなスタイルへの起爆剤を投じた「新しき世界」。

とても暗黒権力の
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貴公子(2023年製作の映画)

4.0

心と体と頭脳が完全独立して機能しているサスティナブル人間の“貴公子“キャラに心奪われる。
いやもうこれは、とんでもないクールホットなおめでた無双野郎です

超人技を隠し持つ恐ろしくスゲー奴なのにしっか
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.5

つい見過ごしたままのアニメーションでしたが、あらためて劇場公開されているので迷っていたら、配信で観た知り合いに、ストーリーめちゃイイ!ジャズが最高!映画館一択!と3連発すり込まれて、やってるシアターと>>続きを読む

マジカル・ガール(2014年製作の映画)

4.5

「マンティコア 怪物」のカルロス•ベルムト監督が、世界的評価を得たのが「マジカル•ガール」

最初観た時、その語り口と展開にさすがにぶっ飛んだ。こんなタイプのノワール映画は初めてだし、巧妙に仕組まれた
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

《ネタバレ》
※内容について、自分なりの理解をいろいろ拾っているのでネタバレ設定しています

【マンティコア 怪物】

作品を一言で言うとすれば、自分で自分を食ってしまった怪物の悲劇だと思う

マンテ
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

濱口竜介監督の映画は、一言で言うとすれば
あらゆる“途中経過“を描いている気がする。
それは単なる通過点でもあり、描かれている以前の時間の中にも多くのドラマは存在していて、描かれた時間の後にもまだドラ
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彼方からの手紙(2008年製作の映画)

4.0

《間もなく濱口竜介監督の新作が公開されるので、監督作と関連作品をいくつか拾っていきます。》
本日は瀬田なつき監督の「彼方からの手紙」

濱口監督の「PASSION」には、瀬田なつき監督が助監督で参加し
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PASSION(2008年製作の映画)

4.5

三角関係からの喪失を見せた「わたしは最悪。」は男女のフラフラした出会いより、別れのやり取りの方がエグ味があったが、三角どころか五、六角関係に膨らませて、男3人と女2人に集約される欺瞞まみれの恋愛沙汰と>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

「パストライブス再会」のような、女性がひとり中心にいて、2人の男性がモヤっとその横にいるトライアングルフォーメーションの構図は映画の中には数限りなくありますが、30歳の独身女性の視点から見える三角形を>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

5.0

薄らぐ遠い記憶の中でも、文字で言うならそこだけ太字になっている時間というのがあるものだ。そこに気持ちだけはすぐにでも飛んで行けるような、誰しも自分ひとりで守って来たような場所がある…

物語は、12歳
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.5

※⚠️これはみなさまご存知デヴィッド•クローネンバーグ監督ジュニアの、ブランドン•クローネンバーグの映画です。
「ポゼッサー」をご覧になった方なら、ウッ!あの監督の映画か、と思われるんじゃないかと思い
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.0

666と007は誰もが知っている3桁の数字で、この符号は無敵、そして不滅…

オーメンがドラマとしてよく出来ているところは、悪魔の子が人間界で堂々と生活していて、正体の秘密に近づく者たちに、次々と不吉
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レスラー(2008年製作の映画)

4.5

“血を流してあんたを満足させたぜ、
これ以上何を求めるんだよ?“

〜ブルース•スプリングスティーンが歌う主題歌の歌詞より〜

「アイアンクロー」を観て直ぐに思い出したのが、ダーレン•アロノフスキー監
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.5

プロレスファンでなくても響くように配慮された細やかな作風がいい。
プロレス映画は過去にもあったが、これはダーレン•アロノフスキー監督の「レスラー」以来の傑作だと思います

ジョン•F•ケネディ一族同様
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

久々のシアター•イメージフォーラム、雨の宮益坂は、道玄坂と同じくYOUは何しに日本へ?系の方がザワザワ、
坂を上がり切ると、このあたりは青学の学生さんがゾロゾロ、私はスルスルとイメージフォーラムへ
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.0

「オッペンハイマー」で、アインシュタインを演じていたのはトム•コンティ、イギリス出身の舞台俳優。
クリストファー•ノーラン監督のお気に入りで、「ダークナイト•ライジング」以来2度目の出演になる。
ノー
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

最近見た雑誌で米軍将校役のマット•ディモンが、「観客はこの映画を10回見て、その都度違う何かを得ることができます」と言っていたのが、謎なコメントで印象的でした。

《挑戦!10回見て得たこと》
•1回
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

5.0

パワーあふれるドキュメンタリーにひたすら圧倒された。

致死性の薬物問題を扱っているという意味で、まさに今、小林製薬のサプリメント被害が事件化していて非常にタイムリーな内容でもある。

まず冒頭のメト
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異人たち(2023年製作の映画)

4.0

「人は自暴自棄には簡単になれる」
という何気ないセリフが、刺さった。

苦悶する相手に対して、そこはかとない優しさを与える言葉なのだが、この映画には、こんな飾らないストレートな言葉しか登場しない。それ
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アマデウス ディレクターズ・カット(2002年製作の映画)

5.0

ピアノと言うと、思い出すのが「アマデウス」

印象的なのが、
今は、ある理由から精神病院にいる宮廷作曲家だったサリエリ(F•マーリー•エイブラハム)の元を訪れた司祭に、こんな曲を知っているか?と、ある
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ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター(1993年製作の映画)

3.5

フェミニズムという流れで「ピアノ•レッスン」は、19世紀の物語とはいえ、男女の格差や立ち位置の見せ方に重苦しさを残す重厚な作品のひとつ。

4Kでのリバイバル上映ということで、冒頭の荒ぶる海の映像をス
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

3.5


ジェーンとは誰…?
誰かは途中で明かされるのですが、この“女性たちの〜“というサブタイトルは不要ですね。観ていれば誰でもわかる事を先回りしてお節介で表示するのはいかがなものかと…。

人工中絶という
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バンカー・パレス・ホテル(1989年製作の映画)

4.0

ドゥニ•ヴィルヌーヴ監督の奇っ怪な短編「Next Floor」の後で観ると、スキンヘッドつながりで、妙にすんなり入り込めるクセモノのSF映画があります。

これもシェルターの中に集められた人物たちのヘ
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華麗なる晩餐(2008年製作の映画)

4.0

オマケで、1本の変なショートムービーを。

「9人の翻訳家」のように一ヶ所に集まった人々のミステリー映画はこれもまた数多くありますが、ドゥニ•ヴィルヌーヴ監督の初期の短編に「Next Floor」とい
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

3.5

小説家が主人公の映画は数多くありますが、どこの国の作品でも、ほとんど駄作は無い気がします。

作家と本の絡んだ話で、意外性がおもしろかったのが、ミステリーを翻訳するために集められた人々の身に起こるシチ
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ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

4.5

「やわらかい手」のお金のために必死で働く主人公を見ていたら、見た目と年齢が近そうな「ある女流作家の罪と罰」のメリサ•マッカーシーを思い出しました。

全く売れなくなった女流作家が、部屋代も滞納するくら
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やわらかい手(2007年製作の映画)

4.5

「遠いところ」の主人公は17歳
未成年ながらどうしてもお金が必要な生活環境から、風俗で働く。キャバクラに始まって、やむにやまれずデリヘルへと身を落としていくのだが…

ふと思い出したのが、イギリス映画
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遠いところ(2022年製作の映画)

4.5

【『大島渚賞記念上映会』】
…というイベントがありまして、招待状をいただいたので行ってきました。

第5回受賞作「遠いところ」(工藤将亮監督)は、昨年の夏にヒューマントラスト系で一般公開されていたと思
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

高級化粧品か高級ワインのような名前からして価値あるドゥニ•ヴィルヌーヴ監督。
一度覚えると調子に乗って何度も口にしてしまいたくなる系の名前ですね。
リューベン•オストルンドとか、アレハンドロ•ゴンザレ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

5.0

これは1位でした!
この際、何の1位かはよくわかりませんが、紛れもなくストーリーも脚本もキャスト陣も、手がつけられないほどの完成度を見せて、トリッキーなエンターテイメントでありながら“凄味“がある作品
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華氏451(1966年製作の映画)

4.0

「炎628」のように数字の入ったタイトルは
その数値に大きな意味がありますが、炎と3つの数字というキーワードで思いつくのが、フランソワ•トリュフォーの唯一のSF映画であり、英語作品の「華氏451」
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炎628(1985年製作の映画)

-

「SISU シス」の中に出てくる戦車はロシア製ですが、出て来たナチスの不埒そのものの連中の不快な振る舞いを見ていたら、当たり前のように思い出したのが「炎628」

映画ファンでも避けがちな作品として有
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.0

これぞ、聖なる証と言いたくなるような主人公が登場します。

とりあえず不死身と言われているので、その時点で勝負ありなんですが、その不死身という状態を通り越したら、どんな極限が待っているかを見せてくれる
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聖なる証(2022年製作の映画)

3.5


「DISCO PIGS」のヒロイン、愛らしいラントを演じたエレイン•キャシディは当時21歳、
この人を初めて見たのはアトム•エゴヤン監督の「フェリシアの旅」。

消えた彼氏を追いかけるように都会に出
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Disco Pigs(2001年製作の映画)

4.0

キリアン・マーフィーの話から、キレのいいレビューが素敵なレビュアーさんに、この未公開作品を紹介されて、観られるサブスクがなくて、英語字幕ですがやむなくYouTubeで観ました。
(若者たちのストレート
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

5.0

同じコメディでも「アーガイル」のような、お笑い系コメディとは異なる種類のアイロニーコメディ仕立てで、新型タイプの黒人映画のスタイルを見せたのが「アメリカン・フィクション」

これはいかにも私が好きな、
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