グランピング施設の
スタッフ側を深掘りする場面から、
『悪は存在しない』という
タイトルが生きてくる。
中盤までは、
地域住民が主役の視点。
『グランピング施設の
創設における説明会があるから、
地域に害がないか確かめよう』という
ストーリー構成。
いわば、地域住民からすると、
金儲けのためや、
地域の環境汚染などの
問題が出てくるため、
悪者に見える訳だが。
この映画では、
後半から視点が切り替わり、
グランピング施設の
スタッフの内面も切り取られる。
『何でこんなところ、
来てしまったの？』
『もう辞めちゃえば』
という上層部に無理難題を
押し付けられている
要素が切り取られ、
人柄的にも悪い人間ではないことが
どんどん引き出されていく。
環境が違えば、
お互いの主張が
食い違うのは当たり前。
そういう意味で
対立するお互いに共感できるような
余白を作ることで、
『悪は存在しない』という。
もう一つは自然災害や、
自然内で起きた不幸な事にも、
『悪は存在しない』という
タイトルが引っ掛かってくる。
ラストの捉え方は
時間を置いて、
しっかり消化しないと、
言語化が難しい…
『ドライブマイカー』は
濱口映画の一つの完成形だと感じたが。
この映画では、
独特なカメラワークや余白もあり。
トライしたい新しいテーマを
実験しているのかもしれない…
そんなことも
思わされた作品だった。
