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悪は存在しないのetcetraのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
2.8
自然あふれる土地に暮らす人々と東京からやって来た開発者。しかしその地元の人々もまた、元々は別の土地からやってきた開拓民でもあった。

対立項を立てながら揺るがせにしつつ反転させ、沈殿させ、澱ませる。黛さんを眺めながら共同体について考えるも、時間の経過とともに曖昧になる。タクミの淡々とした語りぶりに高橋の「なるほど」という相槌の薄っぺらさが際立つ。それでも誰にも共感できないし誰のこともわからない。普遍的であると見せかけて特異的なシーンをぶち込んでくるけど、どうでもいいと思ってしまう自分もいる。「悪は存在しない」というタイトルを付け、あらかじめ観客に提示しておくこと自体かなり挑発的で暴力的だとも思う。自然とか超越的なものとかの話以前に、ある種の暴力性(あのシーンの話ではない)がこびりついて身体から離れない。

ミニシアターでの公開作品だけど、画面が比較的小さいがために撮影クルーが撮っている姿をどうしても想起してしまい、また前の人の頭で画面の半分が隠れて集中力が削がれてしまった。
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