このレビューはネタバレを含みます
パーフェクトデイズに続いて、この生活に憧れる映画ランキングにチャートインしそうな本作。スタートの色使いはゴダールっぽくてワクワクが加速した。
始まりと終わりが唐突!特にエンディングに至っては情報少なすぎて、なぜ主人公があの行動を取ったのか、その後どうなってしまったかが、全然読み取れずにいる。突然絞め落とすなんて。でも悪は存在しない。
会話のテンポと見せ方は濱口節が炸裂していたというか、やはり組み立てが上手い。田舎組の会話(自然守る)と都会組の会話(マッチングアプリ)では落差がありすぎて、少し皮肉にも似た目線を感じた。各々の立場や仲の良いコミュニティでの振る舞いをくどくないレベルで見せることで、人の立場、裏表を描いていたようにも感じた。タイトル通り悪は存在しない。
うどん食べて温まったという感想に対して、それ味の感想じゃないですよね、という切り返しはギャグだと思っていたのだけれど、悪意がなければあの返しはない、という意見を聞いて正直ビックリだった。それでも悪は存在しない。
水の流れを例えに社会の上下関係を説く区長と主人公のバランスを重んじる姿勢がとても沁みた。悪は存在しないであって欲しい。