悪は存在しないのmiyabiのレビュー・感想・評価

われわれのうちなる罪はそとへと溢れでて、罪のかたちをとって周囲を汚染しつつ広がっていくー、と、シモーヌヴェイユのカイエからの一節を思いながら観ていた。悪は無際限である。しかし無際限であるこの悪は有限である、とも。

ラストシーンの在り方が自分にとって驚喜物でした。こうであってほしかった。
冬の山での決闘にありもしないアナザーストーリーを自分の中で紡ぎながら想像する。ハッピーアワーの神戸の街にはじまり、夏に尋ねた長野の山の様子が写されるとき日常の風景が濱口竜介映画になる魔法を噛み締める。