miyabi

パリ、テキサス 2K レストア版のmiyabiのレビュー・感想・評価

4.5
なんてやさしいんだろう。
初めて見たのは確か17歳頃その時にはロリータコンプレックスを拗らせた男に巻き添え食らう子供の眼差し、みたいな感想と共にちいさな嫌悪がぽつんと咲いた事だけを覚えている。なんて浅はかだったんだろうと、10年越しに観て、そう思えて、嬉しかった。砂漠から始まるシーン、乾いた喉を氷で潤した途端に甦り始めるお話に釘付けになる。絵になる場面はいっぱいあり、どれも表面的でないのが最新作とは全く異なる点。
生まれたときから側にある家族/はじまりはふたりから生まれた家族。いくつかの家族の形が集まったリビングで交差する不安と幸せと愛情を込めて8mmの映画を観ているのを見て心底うるりとしちゃった、ベターだけれど。あなたの前ではこうありたい/こうであってほしいと願う愚かさと切なさを人は持っている。観ているわたしたちも勝手にこの家族の幸福を祈る大義名分で押し付けていやしないかと、自分を映画を通してみつけることで、また少し自由になれた気がしたよ。
...こんな風にして出会い直せる体験が嬉しく(午前十時以外の時間帯でもやってくれることも)
また十年後に観たときに、今とはきっと違う風に感じる心を楽しみにしている。
ヴェンダースの空というのがある。それに赤!褪せたブルー!
やっぱりナターシャキンスキーは美しい過ぎるし、ハンターは可愛いすぎるし、ジョンルーリーは一瞬だとしてもジョンルーリー過ぎてありがとう。あとアンの話す英語が凄く好きだったです。劇場を出たら外はすっかり夜で、たまらない気持ちになった。
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