自然の中で共生する事の畏れを捉えた作品。これは誰かの物語ではなく、観ている我々の物語だと、全体にその様な作りになっていて、都度都度、意味を考えさせられる。特にクライマックスは唖然としたし、だからこそ、それまで観てきたものをまた振り返る事になる作りで、あのオープンエンディングの放り出し方は見事だった。
ふんだんに描かれる自然の中での描写ひとつとっても、美しく澄んだ空気感の中に、ずっと不穏なものが漂ってる感じ。
ただ、水挽き町のナチュラルな描写と比較して、都会の芸能事務所のシーンがあまりに作り過ぎで、ちょっと萎えてしまった。あんなあからさまなコンサルいるか？ 差をつけるためなんだろうけど、結構ノイズになってた様に思う。作られた物として描いているのだとは思うけど。
オンライン会議あるあるも盛り込まれていて、コメディ的な味付けにはなっていたけど、なんかあまり笑えなくてバランスを欠いてると思った。
とはいえ、あの交渉役の二人は絶妙なキャスティングで良かった。特に高橋のあの薄っぺらい感じには、逐一笑ってしまった。
