ステファノ・ソッリマ監督 x イタリア大物俳優3人が共演のクライムスリラー、楽しみにしてたやつ。
編集はレフン監督作常連のマシュー・ニューマン。
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノがスキンヘッド眉毛なしで出てきてビックリ。あれは出演してること知らなければ気づかないレベルだな。
その怖いビジュアルのピエルフランチェスコ・ファヴィーノがトニ・セルヴィッロをしばく、名優同士のそんな場面が観られるとは思わなかった(笑
猛暑で山火事が燃え上がり頻繁に停電するローマで、ある青年の行動がきっかけで、今は穏やかに暮らす犯罪組織の元重鎮たちが顔を合わせる羽目になり……
もう、そこからは血の抗争の匂いしかしない。
でもこれ組織だけでなく、元はといえば腐敗した警察と政治家が絡んで起こっているんだよね。
育ての親が犯罪組織の重鎮の１人、だからという訳ではないだろうけど軽い気持ちで思わぬことから暗黒社会に足を突っ込んだ形になってしまったマニュエル。
大人たちの犯罪を追うというよりは、彼が汚い大人の抗争に振り回されるクライムドラマでもあったように思う。
主人公は一体誰なんだ？見たままだとマニュアルだけど、タイトル(adagio=ゆるやかに)を考えると、自身は投獄され息子は殺された復讐心がありながらも、限りある命の火がだんだん消えていくカメロの様子を描いたのかも？とも考えられるかも。
トニ・セルヴィッロ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ヴァレリオ・マスタンドレアの三人の存在感は相変わらず凄い。
特に認知症の元犯罪組織のボスを演じたトニ・セルヴィッロ、一瞬昔の記憶と体の動きを取り戻す場面があって。あのトニ・セルヴィッロ怖すぎた。相変わらずああいう役やらせると怖い。他の場面のボケ老人演技とのギャップがすごい。
そしてそういう大物俳優たちの最期がなかなかえげつなく、容赦ない。
廃車に詰め込んだままアレとかゾッとする。
面白かった。ソッリマ監督作としては「ボーダーライン ソルジャーズデイ」が傑作すぎてそれには及ばずだったけど。
