千年女優

フェラーリの千年女優のレビュー・感想・評価

フェラーリ(2023年製作の映画)
3.5
自動車競技に情熱を注ぐイタリア人実業家で、戦後に立ち上げたフェラーリを世界有数の自動車メーカーに成長させたエンツォ。1957年、前年に息子を亡くして妻ラウラとの間に綻びが生じる一方で長年関係を結ぶリナと隠れ子を育む彼が、伝統あるレースのミッレミリアへスペイン人ドライバーのアルフォンソと臨む様を描いた伝記映画です。

オスカー二部門を獲得して世界的ヒットを記録した『フォードvsフェラーリ』では製作総指揮を担ったマイケル・マンがそのフェラーリの創設者の伝記を映画化した2023年公開作品で、企画での紆余曲折を経て主演にはアダム・ドライバーが就任。ペネロペ・クルスら多士済々の面々が支えるも『フォード…』ほどの成功には至りませんでした。

多くの伝記映画と同様悲喜交交の人生を映画サイズにする取捨選択に苦労していて、一点にフォーカスし切れぬまま展開します。ポーカーフェイスで好演はしてはいてもまだ「若手」の印象が残るアダム・ドライバーの採用にも疑問は残りますが、素晴らしい存在感で牽引するクルスと現実の悲劇を描くクライマックスで全体を締める一作です。
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