このレビューはネタバレを含みます
シリアからの難民家族が飛行機でベラルーシへ、同じ飛行機には、アフガニスタンからの女性（メガネ）も。
ベラルーシからポーランドに入り、そこからさらに親戚の暮らすヨーロッパの国に向かう予定だったが、国境を超えてポーランドに入ってもポーランドの兵士にベラルーシに戻され、戻されたら戻されたで今度はベラルーシの兵士にポーランドに戻される。兵士たちの非人道的な態度、気温、食糧不足で疲弊していく難民たち。
移民を意図的に越境させている節のあるベラルーシとそれを知ってて押し返しているポーランドと巻き込まれる難民の、難民からの目線が続く。
次は国境を警備するポーランド人兵士の目線、曰く難民は国境を越えるとテロリストになるし、獣姦するし、小児性愛者だけど、死人は出すな。出したら消せ（生きてようが死んでようが全員をベラルーシに押し戻せ）、兵士には臨月の嫁。
難民支援グループの支援方法が紹介される。
その次はポーランド人の精神科医、ベラルーシからの難民問題に胸を痛めながらも普通に暮らしていたところ、家裏の森で沼にハマるアフガニスタン人女性（冒頭から登場してるメガネ）を見つける、難民女性は助かるが連れていた子どもは亡くなる。ここで病院に運ばれて医者が出てきて、医者の演技に強く共感して、その瞬間に今の映画館でこの映画を観ている自分の立ち位置を分からせられてゾッとした。
ポーランド人の精神科医は支援グループに仲間入り。
ここからストーリー性が増してきて、結果とりあえずポーランド人もがんばってるからという、そうはならんやろ的な展開があり、最後にウクライナ側からの難民を受け入れるシーンが入る。
フランス語圏のアフリカンぽい人たちと、ポーランド人の姉弟がフリースタイルでラップしたり、お互いに知ってる曲を一緒にラップしてクールだねって言い合うようなシーンがあった。
ヨーロッパの難民問題は複雑だし、いろんな考え方の人がいらっしゃるでしょうけど、もし目の前の人が困っていたら、同じ人としてできる限りの対応するのが人で間違いないと思う。ましてや一方的に暴力を振るったり、子どもの前で大声で威嚇したりするのは、人の道に外れるって感覚、本当は全員にあるはずの感覚だから、それを麻痺させる政治や争いに対してや、自分の中にある差別の意識などとも向き合って調査して考えなきゃいけないことがある。
アニエスカ・ホランド監督が太陽と月に背いての監督でちょっとびっくりした。
私はカラーで観たかったかも。
