【第80回ヴェネツィア映画祭　コンペティション部門出品】
『ティエリー・トクルドーの憂鬱』ステファヌ・ブリゼ監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品された。

ブリゼ監督は静的で美しい映画をつくる人で大好きなのだが、本作はちょっと物足りなかった。脚本が単純すぎて結局何が言いたい映画だったのか分からない。

有名俳優のギヨーム・カネ、そして地方でピアノを教えるアルバ・ロルヴァケル、二人の恋模様が描かれる。幸薄い役をやらせたら右に出る者がいないアルバ・ロルヴァケル、本作でもそういう役だった。

演出は流石のブリゼ、美しく静かに描かれていたが、流石にこの脚本では面白くなりようがない。何の捻りもなく実直に再会を描いており、ドラマが生まれる余地がない。

見終わった後「？？」となってしまった。静かな愛の行方を描きたいのだろうが、あまりに盛り上がりに欠けるし、何も起こらなすぎる。この映画のメッセージを読み取る余地もなく流れていって終わったという感じ。

ブリゼ監督は好きだが脚本がつまらないとこうなるという一種の学びはある作品だったかな。

• #第80回ヴェネツィア国際映画祭

飛行機にて鑑賞。

かつては脚光を浴びるも近作で良作に恵まれていない俳優マシューは、撮影の重圧から逃れるように、過去に暮らした海辺の町へと身を寄せる。そこで彼は15年の時を経て、元恋人アリスと偶然の再会を果たす。

マシューの周囲には彼を「有名俳優」という肩書きでしか見ない人々が群がる。休息を求めて訪れたプールでさえ客たちは、マッサージ中のセラピストに至るまで写真撮影をせがんでくる。これらの表面的な交流に疲れ果て、取り繕った笑顔を浮かべるマシューの表情は空虚だ。

しかし、アリスとの再会は彼に別の顔をもたらす。二人の会話は尽きることなく流れ、そこで見せるマシューの表情は息づくように生き生きとしている。カメラは「欲する対話」と「強いられる対話」の決定的な違いを繊細に捉え、観る者の胸に刻む。アリス自身も普段は人当たりの良い微笑みを絶やさないが、マシューと共に過ごす空間で放つ彼女の笑顔には、心の奥底から湧き上がる光がある。​​​​​​​​​​​​​​​​

別離から15年という歳月が流れ、それぞれの道を歩んできた二人だが、再会によって再燃する感情の機微が画面から溢れ出す。互いへの好意を再発見した瞬間、彼らの心に広がる揺らぎは、俳優陣の繊細な演技によって説得力をもって伝わってくる。期間限定の邂逅がもたらす甘美さと哀しみが、観る者の胸を締め付ける。

本作は、人生という名の迷路を手探りで進む私たちの姿を映し出す。仕事もプライベートも、確かな答えなど見つからないまま進む日々の中で、皮肉にも「オフシーズン」こそが自己と向き合う貴重な時間になると示唆する。

タイトルの『Hors Saison』（オフシーズン）は単なる時期を示すだけでなく、人生における立ち止まりの重要性を象徴している。日常から切り離された空間で、魂の共鳴を感じる相手との邂逅がもたらす価値を、華美な演出に頼ることなく、リアリズムの手法で丁寧に描き出した。​​​​​​​​​​​​​​​​

• #つくね用:2023年製作
• #つくね用:日本劇場未公開
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2024 4/22 フランス アヴィニョンの映画館で観た。元カノと元カレが再会してイチャつく作品だった。途中で寝落ちした。もう一回観に行く予定。
2024 4/24 フランス アヴィニョンの映画館でもう一回観た。